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プリンス×プリンセス

第45章 痕跡

「ですが」

「洗い物と片付けは私の仕事です」

断りかけた言葉を遮られる。

ふと彼の背後を見れば、コック長が大きく頷いていて…

これは…仕方ありませんね。

「ではお願いします」

「はい。お任せ下さい」

グラスを持って、厨房を出る。

仕事としてしたことではないので、本来なら他人の手を煩わせたくはない。

だが、ディオチェスター様が絡んでしまった。

そうなると、仕事として扱われてしまっても…

「仕方ありませんね」

苦笑いを浮かべて独り言ちると

「ジューク様、宜しいですか?」

呼び掛けられて振り向くと、そこにはメイド頭が困ったような表情を浮かべていた。

「どうしました?」

「いえ…あの」

いつもハッキリと物事を語る彼女にしては珍しい。

辺りを見回して誰もいないのを確認すると、声を潜めて聞いてきた。

「以前、おっしゃっていた…夜伽の話ですが」

「…ああ、はい」

夜伽。

昔からある、悪習の1つだ。

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