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プリンス×プリンセス

第47章 見ていられない

鼻で笑ってしまいそうな、意味のない視察。

なのに。

子供たちを見る姉上は、柔らかく微笑んでいる。

『保育器みたい』

決して子供が嫌いな訳じゃないのに、自分の存在意義をそんな言葉でしか表せない姉上。

頼るべきの存在のディオはああだし。

マタニティーブルーなんて、簡単な単語で済まされる話じゃないだろう?

子供が産まれるまで…もしかしたら産まれてからもこの状態が続くかもしれないじゃないか!

姉上の未来が心配で…

でも、姉上のその表情に、少しだけ救われたような気がした。

と、その時。

「きゃ…っ!!」

姉上が緩やかなスロープで何かに足をとられ、後ろへ倒れかけた。

危ない!!

咄嗟に駆け寄ろうと足を踏み出した…ら

「…っ」

ディオが。

姉上の肩を抱くように受け止めた。

「あ…」

「無事…だな」

目を丸くした姉上を見つめるその目が、柔らかく細くなると

「気を付けてくれよ?」

そう言って、姉上の髪にキスを落とした。

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