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プリンス×プリンセス

第48章 親類付き合い

「あの方にとっては、あの時に掬われたのは、ある意味幸福だったのかもしれませんよ?」

幸福?

「よく言えるな」

俺は今でも後悔しているのに。

俺のための行動でシエンタの足元を掬ったんだとしても、他に方法はあったはずだ。

そして、それを指示したのは…

「そもそも発端はお前だろ!?」

ジュークを睨み付けて声を荒らげると、ディオがあきれたようにため息をついた。

「それくらいにしておけ」

「ディオ…」

「もう済んだ話だ」

そんな…簡単に終わらせるなよ!

行き場のない苛立ちをもて余して、苦々しく顔をしかめた。

そんな俺の横で、ディオは涼しい顔でスパークリングワインを嗜んでいる。

「シエンタは望んだ相手と婚姻する。問題はないはずだ」

それは…そうかもしれないけど!!

だけど、あの状況を『幸福』だなんて思えない。

もっと、やり方はあったはずなんだ。

「それに、ジュークの言う事にも一理ある」

え…?

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