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プリンス×プリンセス

第49章 騙しあい

さっき食うなって言ったばっかりなのに。

まさか、誰かに食べさせたりとか…?

いや、まさか。

いくらジュークでも、そこまでのことはしないだろう?

「まさか…持ち帰るのか?」

俺の問いに、ジュークは紙ナプキンをくるりと回して菓子の包みを作ると、大切に鞄にしまいこんだ。

「はい。一応、検査に出します」

そこまでするのか!?

目を丸くすると、ジュークは俺を見て、皮肉めいた笑みを浮かべた。

「疑いだけでは動きが取れませんので」

そう言って、チョコレートの包み紙をくしゃっと丸めて屑籠に入れると、ポットで紅茶を作り出した。

ポットにお湯を注ぐと、紅茶の芳しい香りが部屋の中を満たしていった。

飲み物にも何か仕込まれてるんだろうか?

匂いだけなら全然そんなの分からない。

ジュークは無駄のない動きで、カップに琥珀色の紅茶を注ぐと、カップを持ち上げた。

カップを持ったまま部屋の角へ向かい、その紅茶を…

え!?

観葉植物の鉢植えに捨てた。

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