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プリンス×プリンセス

第49章 騙しあい

え?

顔を上げてディオを見れば、ディオは俺の腹の部分を見ていた。

服を着ていても分かるくらい、ダミーを仕込んでいる。

だから、正面から抱き締められたら、ディオの長い腕でも回しにくくなるだろうとは分かるよ?

分かる…けど…

「そんな事言うな」

本当ならここにいるのは姉上で。

姉上のお腹にはディオの子供が居るんだ。

邪魔とか…そんな事、言うなよ…。

悔しくて、情けなくて、下唇を噛んだ。

すると、ディオが小さくため息をつく。

「お前のは作り物だろう?変な感情を乗せるな」

それはそうなんだけど!!

ディオの淡々とした調子に、苛立って眉を寄せると

「それよりも」

ディオはそう言いながら、俺の頬を包むように両手を添えると

「口紅は持っているのだろう?」

口紅?

突然何を聞くんだ!?

ディオの深意が図りかねて、渋々といった感じで答える。

「あるけど…」

するとディオは口角を上げて

「ならば少々乱れても問題ないな」

「ディオ…んっ…」

さっきよりも深く口づけをしてきた。

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