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プリンス×プリンセス

第50章 尊い人

胸の少し上くらいまでの長さの銀髪。

艶やかな髪が揺れると、照明の光が跳ねているかのごとく煌めいている。

あまりにもじっと見ていたからか?

顔は真っ直ぐ前を向いたまま、目だけを俺に向けてきた。

銀縁の眼鏡の奥の目は理知的で、いささか取っつきにくい雰囲気をかもし出している。

でも…美人だ。

クールビューティーって、こういう人の事を言うのかもな。

「ごめんなさい。…初めまして、ですよね?」

会釈をして挨拶をすると、彼女は驚いたように目を見張り

「え、あ、はい。初めまして」

いささか固い笑顔で挨拶を返してきた。

うわ。気まずい…

会話が弾みそうもない。

お互いが無言のまま、この空間をどうにかしたくて考えた。

初めて会う女の子。

なのに、わざわざ隣に座ってきた。

空席はいくらでもあるのに、だ。

俺に…じゃなくて、姉上に用があるとしか思えないよな。

…こっちから歩み寄ってみるか?

彼女の方を向くと、にっこり微笑んだ。


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