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プリンス×プリンセス

第50章 尊い人

「私はフェールロコノ国のティアナと申します」

微笑みを崩さずに会釈をすると、相手はやっと真っ直ぐに俺を見た。

「はい。存じ上げております」

妙に落ち着いた声は、二十歳前後に思える見た目とはそぐわなかった。

俺を見て、クスリと笑い

「ディオチェスター王子との会見、拝見致しました」

「はあ…」

そんな事を言われると思わなくて、二の句が告げなくなる。

会見って、どの会見だろう?

姉上が答えたものと、俺が出たのもあるんだけど…

「ご懐妊も。おめでとうございます」

「ありがとうございます」

すると、彼女は椅子から立ち上がり

「その際はご迷惑をお掛けしました」

そう言って、深々と頭を下げた。

へ?

何で?

この子に謝られるような事なんて、何もないだろ!?

「そんな…どうぞ頭をおあげになって?」

俺も立ち上がりかけて…腹がつかえて素早く立ち上がれないでいると

「あなたこそそのままお掛けになって下さい」

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