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プリンス×プリンセス

第51章 微笑み

ジュークは足を止めると、くるりと振り返って俺を見た。

「何ですか?」

「その言い方、控えた方がいい…と思います」

万が一、誰かが聞いていたとしても言い逃れられるように。

敵なんてなるべく作らない方がいいに決まってる。

なのに

「構いません」

ジュークは俺の思いなんかこれっぽっちも汲み取るつもりはないらしい。

「この国のものすべてが周知していることです」

そう言って肩をすくめると、ふぅ…と息を吐いた。

「レジアス様が結婚されて、それ以来この国では毎年途上国への支援の額が増えています」

は?

急に話が変わったな。

途上国への支援?

「それは…素晴らしい事ですね」

他国への支援を惜しまないなんて、余裕のある国にしか出来ないことだろ?

けれど、ジュークの求めていた答えとは違っていたようで…

「途上国と言っても、コングリッツしか受け取りの名乗りを上げないのですが」

は?

それって…外向的には善意に見えるけど…

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