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プリンス×プリンセス

第51章 微笑み

「コングリッツだけが支援を受けている…って事?」

思わず声を潜めてしまうと、ジュークは微笑みを浮かべた。

「まあ、そういう事です」

そういう事って…

呆然とする俺を置いて、ジュークは歩き出した。

慌てて追いかけながら考える。

それって支援じゃなくて…可愛い孫に小遣いを渡してるようなものじゃないか。

しかも毎年、額が増えている…って…

「納得してるの…でしょうか?」

「それを良しと思わない国民も少なくはないでしょう」

だよな。

それはそうだと思う。

国の政策ではなく、個人的理由で国の資金を使われているのであれば当然だ。

それにしても…

「ジューク、詳しいんですね」

普段、そんなに付き合いのある国じゃない。

親戚だと言っても、関係はとても遠くて…

実際、俺たちの扱いは『ゲスト』だ。

それなのに…妙に詳しすぎないか?

するとジュークは前を向いたまま、ぼそりと告げた。

「この国は私の生まれ育った国ですから」

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