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プリンス×プリンセス

第52章 信じる力

誰もが自分の思惑に嵌まり、考え込んでいる。

重苦しい空気のなかで、お腹に手を当ててため息をついた。

人を見極めろとディオは言う。

でも…誰かに恨まれる覚えなど何もない。

なのに、見極める事なんか出来るとはとても思えない。

そうなったら…誰も信じられなくなるのではないかしら…?

ディオをそっと窺い見る。

あなたは…どうなの?

誰なら信じられる…?

お腹に置いた手で、付近の服を握る。

何かにすがっていないと自分でいられなくなりそうで…怖い…。

「それにしても…今回は直接的すぎるな」

「そうですね」

「レジアスが笑っていたのは間違いないのだろう?」

ディオの問いに、テリオスが眉を寄せて答える。

「ああ」

それだけで、どれ程怖い思いをしたのか想像できて切なくなる。

私の為に…私のせいでテリオスに迷惑をかけてばかりだわ…。

服を握りしめた手を、もう片方の手で覆う。

震えそうな手を隠したい。

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