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プリンス×プリンセス

第53章 トラウマ

「あの時以来、銃声がトラウマで…花火の音にも怯えただろう?」

一瞬、何の話をしているのか戸惑い…

一瞬の後、ディオが何を言っているのか理解した。

「あ…あれは…」

婚約会見の時にペイント弾で撃たれた。

それから、爆発音にやたら反応してしまうようになってしまって…

あの謝肉祭の時に、風船の破裂音に驚いたのをディオに気付かれた。

そしてその夜に、花火の音にもビビってしまった。

「そんなの…もう一年以上前の話じゃないか!!」

また俺をバカにしやがって!!

顔を曇らせると、俺を見てディオは薄く笑い

「お前が思うよりも、心の傷は癒えにくいという事だ」

そして、俺の頬をスッと撫でると、頭に手を置いた。

「無理をするな」

俺の頭を撫でる手は優しくて。

俺を見るディオの目は、青空のように澄んでいる。

ああ、そうだ。

あの謝肉祭の時だって、ディオは俺を気遣ってくれていた。

パーティから戻って、着替えた時も。

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