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プリンス×プリンセス

第53章 トラウマ

風呂場で花火に驚いた時も。

あの時はディオに対して不信感があって、その言葉が素直に受け止められなかったけど…

今なら分かる。

ディオはずっと…俺を心配してくれてるんだ。

それに気付いてしまったら。

ディオの言葉が嬉しいのに…

それ以上に、恥ずかしいやらくすぐったいやら…

感情の置き場がなくて、身悶えしたくなる。

まともにディオを見ることができない。

俯いてディオから視線を反らして…

その場しのぎに、グラスの酒を口にする。

アルコール度数が高めなせいか、口の中でふわりと広がって溶けるようで、ちっとも喉が潤わない酒を。

何か言わないと。

『ありがとう』だけじゃないお礼とか感謝の気持ちとか…何て言ったら伝わるんだ?

口の端を舌で潤して言葉を探し…

「なら…また風呂に薔薇でも浮かべるか」

あの時、花火に驚いた俺にディオがしてくれた事。

俺の気を紛らす為にしてくれた事で、和んだのは確かで…

「気に入ったのか?」

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