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プリンス×プリンセス

第53章 トラウマ

「それよりも…その怪我、手当てはしたのか?」

ディオの目線は、俺の左腕の…さっき見せた擦り傷を見ていた。

「あ…あぁ、手当てなんて大袈裟だ。そのうち治る」

ははっと笑うと、ディオは眉をひそめて

「甘く見ると痕が残るぞ」

「残ったって大したことじゃないだろ?」

深い切り傷とかならある意味勲章になるかもしれないけどさ。

こんな擦り傷なら、かさぶたになってすぐに消える。

残ったところで、ただの傷でしかない。

肩をすくめたら、ディオはため息をついて

「お前の体に傷がつくのは面白くない」

そう言って、俺の首筋を指でつうっ…と撫でると

「ただでさえ跡が残りやすいのに」

「なっ…!?」

妖艶とも言える笑みと指先からの刺激に、びくりと体を震わせてディオを見る。

ディオは俺の目を見たまま、人指し指を首筋から左胸に移動させると

「まだ残っているのか?」

服の上から、トン、とある場所を弾いた。

弾かれた場所と言葉の意味が一致して…

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