テキストサイズ

プリンス×プリンセス

第53章 トラウマ

ディオの手を払い除けると、その場所をぎゅっと掴んだ。

「お前が付けておいて何言ってんだ!!」

ディオが付けたキスマークの場所。

あれから時間が経って、だいぶ薄れてはきてるけど、今でも触ると…熱い……

ディオを睨み付けると、俺の視線を受けてククッと笑いをこぼした。

「それは構わない。俺のものだという印だ」

は!?

お前…そんなつもりで付けたのか!?

俺の肌に残る赤い跡を見る目がやけに満足げだったのは…そういう事かよ!!

「お前の所有物になった覚えは無い!」

怒りと羞恥で頭に血が上る。

「全く…そう吠えるな」

俺の怒りに気付いているのかいないのか。

ディオは苦笑いを浮かべると、俺の左手を取った。

「手当てをしてやる」

え?

聞き間違いか?

「お前が?」

「不満か?」

いや、不満って言うか…

不安だって方が俺の気持ちを言い当ててる。

お前に手当てなんか出来るのかよ!?

顔をしかめた俺に、ディオは部屋の奥を指差した。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ