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プリンス×プリンセス

第53章 トラウマ

「まずは風呂に入れ」

「はぁ!?」

「傷口を洗い流してこい」

そう言って、再度部屋の奥を指し示した。

お前が指差してんのって…バスルームか!?

「ちょ…待てよ!!」

お前さ、頭大丈夫か?

この部屋で俺が風呂に入って。

それが誰かにバレたら、ジュークが何言うか…

『貴方は…何度言ったら分かるんですか?』

あきれたような、苛立ったような、あの顔と声。

悪いことをしてるのは分かってるんだ。

だから…少しでも長くディオの側にいられるように、波風を起こしたくない。

「自分でやるから!」

「だが一人ではやり辛いだろう?」

まぁ…それは…

右腕の傷なんかは、利き手じゃない方で薬を塗らなきゃならないから、やりにくいのは確かだ。

「なら…カムリに頼むから」

カムリなら、擦り傷に驚きながらも

『痛みますか?沁みたら言ってください』

なんて言いながら、優しく手当てしてくれる。

その状況を想像して、思わず頬を緩ませる。

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