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プリンス×プリンセス

第53章 トラウマ

廊下に出た途端、寒そうに腕を抱いていて…

俺のジャケットがコートの様になってしまって、思わず笑ってしまった。

そういった姿は実に愛らしい。

愛らしくて、守らなければならないと無条件で思わせてしまう程に…

ジャケットとネクタイを片付け、一息つく。

その時、携帯電話に着信が入った。

画面を見て相手が分かると…自然と渋い顔つきになる。

表情はそのまま、声だけはいつも通りに電話に出た。

「そちらから電話など珍しいですね」

「お前の連絡が遅すぎるからだ」

憮然とした声に、表情が容易に想像できる。

「それは失礼しました」

「それはそうと…どうだ?容態は」

「残念ながら。ご無事です」

「何と!!悪運の強い事だな!!」

悪運か。

キサンタンガムの国王の嘆きを聞き、ジュークは唇を歪めた。

「階段から落ちて腰でも打てば、うまくいくと思ったのたが」

うまくいく…それはつまり、ティアナが流産する、と言う事だ。

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