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プリンス×プリンセス

第54章 違和感

「キサンタンガムから戻った、あの夜」

その国名を聞くと、条件反射のように肩がぴくりと震える。

それに気付いているのかいないのか

「お部屋までお送りした際、ティアナ様はおっしゃいました」

ジュークは姉上から俺に目線を向けると

「ご自分のせいでテリオス様が怪我をした、と」

「な…!」

事務的な報告のように淡々とした口調。

その内容に、驚きのあまり言葉が続かない。

確かにあの日、姉上はショックを受けていた。

だからこそ早めに休んでもらうようジュークに部屋へ連れていってもらったんだ。

だけど、ショックの原因が…俺の怪我だったなんて!!

「何でもっと早く言ってくれなかったんだ!?」

あの時それを知っていれば。

すぐにでも姉上を安心させるために動いたのに!!

苛立ちをジュークにぶつけると

「そう思いました」

ジュークは目を伏せて

「ティアナ様からそれをお聞きして、その足でディオチェスター様のお部屋へ向かいました」

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