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プリンス×プリンセス

第54章 違和感

ポットと同じ白磁器のカップに注いでくれる。

香りから想像するより色が薄い。

けれど口に含めば、味わいと香りがふわりと広がっていく。

「いかがですか…?」

「あ、うん。旨いよ。ありがとう」

笑ってお礼を言うと、カムリは目を細めて笑顔になり

「やっぱり…ジューク様は凄いです!」

感嘆するかのような口調に、思わず噴き出しそうになる。

「なっ…何が!?」

「テリオス様にお出しする茶葉を選んでいたら、ジューク様がこれを選んでくださって」

これ、とポットを持ち上げて見せた。

「テリオス様はきっとこの味がお好きだから、と。よく分かっていらっしゃいます」

嬉しそうなカムリの笑顔に、俺は苦笑いしか浮かばない。

カムリは悪くない。

紅茶も美味しいし、俺の好きな香りだ。

だけど…ジュークのおすすめ、とか言われてしまうと…

アイツの手のひらの上で踊らされているような気になってしまう。

湯気を飛ばす振りをしてため息をつくと、甘い香りごと一口飲み込んだ。

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