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プリンス×プリンセス

第55章 念願の日

俺の不満に、姉上は眉を下げる。

「仕方ないわ。公務ですもの」

昨日からディオは外遊に出ている。

その国の歴史と地場産業の知識を得るため、なんて言ってたけど…!

何だってこんな時期に、国外での視察なんか入れやがったんだ!?

「全く…間が悪すぎるんだよ」

いつ生まれてもおかしくないって分かってるだろうに。

こんな時期に予定を組んだジュークに悪意があるとしか思えない。

「テリオス…私なら大丈夫よ?」

姉上は楽しそうに笑うと、シルフィを見ながら

「私のわがままも受け入れてもらえたし」

ね?と問われ、シルフィは困ったように笑う。

出産するにあたって、本来なら病院に入院する予定だった。

けれど、姉上がそれを断ったんだ。

出来る限り見知った人の中で子供を産みたいとの願いを、ディオも汲んでくれて…

結果、先生とスタッフ数人、そしてシルフィが姉上の看護にあたっている。

そのお陰か、姉上は至って落ち着いていて…

大丈夫だと言うのも事実なんだろう。

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