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プリンス×プリンセス

第55章 念願の日

姉上の部屋を出て自分の部屋に戻り…

カムリもいないから、部屋に俺一人だけで。

「この様子ですと、今晩は産まれないと思いますよ?」

シルフィが言うには、明日がその日じゃないかって…

ディオは明日の夜に戻る予定だって聞いた。

全く…何してるんだよ!!

部屋に一人でいるのも落ち着かない。

少しだけ悩んだけど…

よし!と気合いを入れて、携帯電話を操作した。

もうこの時間なら電話に出れるだろう?

何度目かのコール音のあと…

「何の用だ?」

いつもと同じ声に、耳が喜んでしまう。

「姉上の事、聞いてるんだろう?」

「聞いた。まだか?」

「そうだけど」

「ならば…明日戻った頃には生まれているかもな」

笑いを含んだ声に、胸がザワザワする。

ディオ。

お前は、ベビーの誕生を…喜んでるんだよ…な?

「お前もついに父親か」

「…そうだな」

今の一瞬の間は…何なんだよ。

考えすぎ。

勘繰りすぎなのかもしれない。

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