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プリンス×プリンセス

第55章 念願の日

けど…

顔を見て話がしたい。

声だけだと…お前の考えが読めないんだ。

「ずっと…待ってるんだ」

「そうだな。懐妊の知らせから今まで…長かったからな」

その知らせを聞いたのは、シエンタの騒動があった日。

そう思うと、ずいぶん昔の話のように思える。

けど、俺が言いたいのは…

「違う。俺が待ってるのはお前で…だから、早く帰ってこいよ」

今、俺がこんなに落ち着かないのも、お前がここにいないからだ。

お前がここにいて、姉上を元気づけてくれたら…こんなざわざわした気持ちを抱えなくて済んでいるのかもしれない。

なのに…

「おい、何か言えよ」

ディオは無言のまま…何の音も聞こえなくて…

「お前、聞いてんのか!?」

「…聞こえている」

「なら返事くらいしろよ」

するとフッ…と笑い声が聞こえたかと思ったら

「お前からそんな言葉を聞けるとはな」

は?

ディオの言っている事の意味を掴みかねて、首を傾げて次の言葉を待った。

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