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プリンス×プリンセス

第57章 傍にいてくれ…

「カムリ?」

姉上は産後でよっぽどの事がない限り訪ねてなんか来ない。

だから、カムリに違いないって思ったのに

「俺だ」

頭から振り払ったはずの人の声に、目を見張った。

何で…

震えそうになる手でドアを開く。

その先にいたディオは、俺を見て少しだけ眉をひそめた。

「あ…戻ってきてたのか…」

咄嗟に気付かなかった振りをして、ディオから視線を反らす。

そんなのは嘘だ。

部屋に隠っていても、ディオが帰って来たのは音と雰囲気で分かっていた。

「姉上と子供に…会ったんだろ?」

「ああ」

「どうだ?可愛かっただろ?」

無理矢理笑顔を作ると

「その事で…話がある」

ディオからの申し出に、息が止まりそうになった。

話?

話って…何の?

「入ってもいいか?」

「あ…あぁ…」

俺が手を離すと、ディオはドアを押して部屋に入ってきた。

今日は会わないって決めてたのにな…

はぁ…とため息がこぼれた。

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