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プリンス×プリンセス

第59章 沈黙の刻

「姫君様が調子を崩して、ジューク様が病院へ連れていった、とだけしか」

「そうか…」

それだけ呟くと、テリオス様は顔を手で覆って大きなため息をつく。

その姿に心が痛んだ。

「すべて確証を得てから…ディオチェスター様からお話されるそうですので、テリオス様も…」

こんなその場しのぎの嘘に付き合わせてごめんなさい。

その思いも込めて頭を下げると、もう一度ため息が聞こえて

「分かった。言わない」

ちらりとテリオス様をみれば、口を歪めて…

でも、笑顔に見える表情を浮かべていた。

「はい。よろしくお願いします」

「じゃあ…姉上に会ってもいいんだな?」

「はい」

ティアナ様を思いやる、テリオス様の優しさに気持ちがほっこりする。

でも…だからこそ…

「シルフィが言うには、多少不安がっていらっしゃる様ですので…」

「ん。分かった。ありがとう」

何度か小刻みに頷くと、微笑んで

「カムリも…キツいだろうけど頑張れよ」

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