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プリンス×プリンセス

第59章 沈黙の刻

ご自分だって辛いでしょうに、僕を気にかけてくれて…

その思いに、目が潤みそうになって、懸命にこらえていた。

するとテリオス様は僕の腕を強めに平手で叩き

「姉上の所に行ってくる!じゃあな!!」

明るい笑顔を浮かべて、足早に廊下を進んでいった。

「はい。いってらっしゃいませ」

軽く頭を下げて、テリオス様の後ろ姿を見届けた。

涙を見られなくて良かった。

自分の気の緩みを反省して…

同時にテリオス様の気遣いに感謝する。

でも…ちょっと強すぎです。

さっき、テリオス様に叩かれた腕の部分に手を当てる。

まだ少しだけヒリヒリしてる。

軽くさすりながら…笑みを浮かべた。

テリオス様は優しい。

だからこそ…

「ティアナ様を支えようとして…無理なさらないといいのですが…」

テリオス様を見ていると、国の違いを感じる時がある。

『王子』としての立場にいる方にしては、自己犠牲をいとわない部分が見受けられて…心配になる。


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