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プリンス×プリンセス

第59章 沈黙の刻

「一体…何を探しているんですか?」

勇気を振り絞って聞いたのに、ルークスさんは小さく首を横に振ると

「いや…有るとも限らないから」

そう言ったきり、引き出しを元に戻し始めた。

結局、教えてくれないって事、ですか。

聞いたところでどれ程力になれるか自信はない。

だから…仕方ないんだ。

そう自分に言い聞かせて、執事服をクローゼットから取りだし…

あれ?

ネクタイをかけるためのハンガーラック。

その中に1つだけ、見慣れない蝶ネクタイが掛かっていた。

しかも、紺地に燕脂色のストライプが入ったもので…

ジューク様がお仕事で蝶ネクタイをされるときは、決まって黒色の無地だ。

柄物の…派手な配色の物を身につける事はない。

じゃあ…私物?

それにしては…

段ボールの中の服に、フォーマルと言えるものはない。

蝶ネクタイをラックから外して見ていると

「どうかしたのか?」

ルークスさんが僕に近寄った。


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