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プリンス×プリンセス

第59章 沈黙の刻

「いえ…この蝶ネクタイが…」

手にした蝶ネクタイを見せると、ルークスさんは僕と蝶ネクタイを見比べた。

「ん?蝶ネクタイ?」

ルークスさんは気にならないのかな…?

「これだけが何か…そぐわない気がして」

そう言いながらも、自分の意見に自信が無くなってくる。

ルークスさんが気にならない程些細な事なんだろうな。

「ふ…ん。成る程」

ルークスさんは蝶ネクタイの裏表を見ながら呟くと、おもむろに布の合わせ目を引き裂いた!!

「ルークスさん!?」

あまりに驚いて、名前を叫んでしまった!!

すると、ルークスさんは頬を緩ませて…

「あ…」

蝶ネクタイの継ぎ目から小さなメモリーカードが顔を覗かせていた。

「当たりだ」

慎重にも見える動作でメモリーカードをつまみ上げると、ルークスさんは僕の肩をぽんと叩き

「お前、いい勘してるな」

「え…」

破顔って、こういうのを言うのかな。

ルークスさんのこんな笑い顔を初めて見た。


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