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プリンス×プリンセス

第60章 罪と信用

よく考えりゃあ、あいつの名前とか聞いてなかった。

だけど、多分そうだと思って

「あ…俺、その人の代理です。代わりに荷物を受け取ってくれって頼まれて」

にこりと人当たりの良さそうな笑顔を浮かべて言った。

だけど男は態度と目付きを冷たくしたまま

「荷物…」

ぼそりとそう呟いた。

そして、あやされて泣き止んだ赤ん坊をゆったりとした手つきでバスケットへ寝かしつけた。

念のために周りを見回す。

さっき遠目から見たときと変わらず、男の周りには何もない。

…って事は、さ。

「受け取るのって…まさか」

バスケットの中の…赤ん坊なのか!?

確かに『片手で持てる』し『簡単な仕事』かもしれないけど!!

何これ!?

誘拐?人身売買?もしかして…臓器売買か!?

目の前の男がとんでもない犯罪者だったら…俺まで売られたらどうしよう!?

…そうやって笑うけどな!!

その時は俺も必死だったの!!

そしたら男はため息をついた。

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