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プリンス×プリンセス

第60章 罪と信用

「待ってくれよ!!だって俺、1万もらっちゃったし」

「はい?」

「前金。で、預かって引き渡せたらあと4万もらえるんだ」

指を4本立てて突き出すと、男は俺の顔と指を交互に見比べた。

「渡してもらわないと困るんだよ。俺、生活できない!!」

…嘘だよ?

一応、ちゃんと仕事してるし。

給料で生活できるくらい稼ぎはある。

だけど、嘘も方便って言葉もあるだろ?

人の気を引きたければ、多少大袈裟に言った方がいいんだ。

実際、男には思うところがあったみたいで

「全く…」

眉を寄せると、ため息をついた。

「やはり一筋縄ではいかない…か」

そうぼやくと、何故か笑みを浮かべて…

「4万渡せばいいのか?」

「え?」

「金目的ならそれで手を引きなさい」

男はそう言うと、懐から長財布を取り出した。

え?何?この展開。

アイツの代わりにあんたが金払うの?

戸惑って何も言えないでいると、財布から万札を引き抜いて俺に見せた。


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