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プリンス×プリンセス

第60章 罪と信用

きっちり4枚。

これで手を引け…か。

見ず知らずの男を追い払うために、簡単に4万も出しちゃうんだ。

それくらい…その赤ん坊には価値がある、って事で…

差し出した金には手を伸ばさず、頭を掻いて

「えっと…厳密に言えば、あいつに1万返さなきゃならないから5万欲しいんだけど」

あははっと笑ってみせると、男は呆れたように眉を上げた。

「なかなか抜け目のないひとですね」

「へへっ。どうも」

もう一枚増えた万札を2つ折りにしてポケットに突っ込む。

本業に続いて、こっちでも契約不履行…か。

だけどこっちは金になった。

あとは…アイツにどう言い訳するか、だな。

…ま、いっか。

事実をそのまんま言えば、仕方ないで終わるだろ。

簡単に考えてたから、自分よりも目の前の男の今後が気になったんだ。

「それで…あんたはどうするんだ?」

赤ん坊が引き渡せないって事は、あんたも具合が悪いんじゃ無いか?

すると男は口元に手を当てて考え出した。

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