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プリンス×プリンセス

第9章 ファーストキス

「ですから、私との結婚を望まれない方がいらっしゃる事も存じています。ですが…」

今朝、支度の済んだ姉上との会話を思い出す。

決意に溢れた表情を浮かべながらも、握った手は震えていて…

「今すぐには無理かもしれません。けれど、いつの日かディオチェスター王子の支えになれるよう、これから励んでいきます」

姉上の決意を無駄にはしない。

「どうか、皆様、私を見守って下さい。お願いいたします」

記者席に向かって深々と頭を下げると、どよめきとけたたましいほどのカメラのシャッター音が響いた。

「ティアナ様、ありがとうございました。では以上をもって会見を終了させて頂きます」

ジュークが早口で会見を締め切る。

頭を下げたままの俺に、ディオチェスター王子が

「お前は強いな」

そう言って、肩に手を置いた。

「行くぞ」

「は…はい」

ディオチェスター王子に連れられて、会場を後にする。

その間もずっとシャッター音が鳴りやまなくて。

扉が閉まった途端、緊張の糸が切れた。

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