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プリンス×プリンセス

第60章 罪と信用

あーあ、やっと…か。

両手をあげて体を伸ばしてため息混じりに呟くと、後ろを振り返った。

今までいた場所は、フェールロコノの城壁が高くそびえていて、ここからじゃ城の切っ先しか見えない。

首を振って、はぁ…と息を吐き出す。

まさかな体験だったな。

貴重って言えば間違いじゃないけど…でも、2度とごめんだ。

ポケットに手を突っ込めば、指先に紙幣が触れた。

「あ、そっか…」

あの男からせしめた5万。

これは…もらっちゃっていいもんだろうか?

「ま、しゃーないよな」

アイツ、死んじゃったし。

返そうにも返せねーもん。

「あとは…っと」

携帯電話を取り出して、記憶している番号を打ち込んだ。

#71-1083-152-5144

「ナイトは最後に恋しよー、か」

すごい語呂合わせ。

だけど、覚えやすい。

呼び出し音を聞いていると、電話に出たようだ。

「もしもし?あんたジャスティっていうの?」

開口一番で質問を飛ばせば、相手の男はしばらく押し黙っていた。

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