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プリンス×プリンセス

第61章 執着心

姉上の部屋から執務室まで、そんなに遠い距離じゃないんだよな…。

話せる時間もそんなに取れない位忙しい、って事か。

ディオを見れば…何となく疲れた顔をしているように感じて…

「大丈夫か?」

その言葉に、ディオは眉を上げた。

「何か…忙しそうだな」

「実際、忙しい」

ぼそりと返されたのは、本心なんだと思う。

前だったら絶対こんなこと言わなかった。

正直に気持ちを伝えてくれるのは、気を許してるからだと思えば嬉しい。

嬉しいんだけど…

「有能な右腕がいなくなったからな。仕方あるまい」

肩をすくめてくくっと笑って…

冗談として受け止めるべきなのか?

笑った方がいいのかもしれない。

だけど、ディオを見たら…笑えなかった。

「何か…手伝おうか?」

とっさに口をついた言葉に、ディオは苦笑いを浮かべた。

「何を?」

お前に何ができる?

そう問われた気がした。

「馬鹿にするなよ?俺だって王子として仕事はしてきたんだ」

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