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プリンス×プリンセス

第62章 お披露目会

「所で…ディオチェスター様」

グレイスは笑みを消してディオに目を向けると

「全て、問題なく済ませました」

突然、雰囲気が変わった。

銀縁眼鏡の奥の目が、理知的な色を帯びる。

「ああ…手間をかけた」

「いいえ」

グレイスはかぶりを振ると、感情の読めない表情のまま言った。

「私は場を与えただけですから」

場?

場って、何の事だ?

二人だけで分かっている内容の会話。

それを立ち聞きしているような気分になってしまう。

席をはずした方がいいんだろうか?

迷って、グレイスを見れば

「それに…」

言いかけたグレイスと目があった。

口を開きかけた俺に、グレイスはうっすらと笑みを浮かべると

「それに、経緯を考えれば当然の事です」

顔を歪めて苦笑するディオに、グレイスは目を細めると

「ですので、どうぞご安心下さい」

そう言って、軽く会釈をした。

ディオはふぅ…と息をついてから答える。

「誰も心配などしていない」


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