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プリンス×プリンセス

第63章 盗み聞き

しばらく祈り続けていると…

不意に人の声が耳を打った。

え…?

誰かが来るなんて予想していなくて、慌てて声の方向を探す。

植木の枝に隠れてしまい、顔は分からないけど…

数人がこちらの方向へ近付いている…?

慌てて頬を拭い、涙の跡を消した。

でも…近付いてきた人に笑顔を向けられる程、気持ちを立て直せなくて…

咄嗟に、雑木林の奥へ逃げ込んだ。

あの人たちが通りすぎるまで、ここで隠れていよう。

ここなら…まさか私がいるなんて気付かれないはず。

木の陰に隠れて、息を潜める。

声がどんどん近付いてきて…姿が見えた。

西日でも艶やかに光る白髪。

精力的な顔つきと、それに見合った力強い足取りの…老人?

その顔に見覚えはなかった。

けれど、老人と同じ歩調でこちらに近付いて来るのは…

「ディオ…?」

ディオがこっちへ向かっている…ということは…

辺りを見回し、他に隠れられる場所がないことを悟ると、木の陰に体を密着させた。

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