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プリンス×プリンセス

第64章 置き土産

私から目線を別の…私の後ろに向ける。

顔だけ動かして、彼の視線を追えば…そこには…

ディオと…あの、老人の姿があって…

「奴隷…?」

現代に奴隷制度なんかあるわけはない。

だけど彼の口調は、嘘を言っているようには聞こえなくて…

眉を寄せた私に、彼は微笑んだ。

「そう。だから悪いけれど、利用させてもらう」

え…!?

更に近付いた彼に、手を前に出して身構える…と!

急に手を引っ張られて、バランスを崩しながらつんのめった。

「きゃ…っ!!」

よろけた所を、彼が支えて…

ううん、違う。

背後から首元に腕が回り、拘束されてしまった!

「く…っ!!」

喉を押さえられてて、声がうまく出ない。

半ば引きずられるように歩かされて、木立から抜け出す。

てっきりこのまま何処かへ連れ去られるかと思っていた。

けれど彼は…ディオにむかって叫んだ!!

「フェールロコノの王子!!」

その声にディオが振り返る。

「その人を解放してもらおう!」

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