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プリンス×プリンセス

第64章 置き土産

あっという間に、男を地面に組伏せていた。

そこでルークスは肩の力を抜くと、私に向き直る。

「ティアナ様、ご無事で!?」

「ええ。平気よ」

少し焦ったように話すルークスに笑いかける。

でも…かなりぎこちない微笑みになってしまった。

同じような背の高さ。

同じような執事服を着て。

同じような黒髪だから?

顔の造りは全然違う。

瞳の色だって、ルークスは深いブルーで、緑色じゃない。

なのに…どうして間違えてしまったの?

ううん。間違えたのではないわ。

私…心のどこかで、期待していた…

来るはずかないのに…っ!

笑みが崩れそうで…目を伏せて、ルークスから顔を背ける。

すると、うつぶせになった男の背に片膝をついて、腕を拘束し終わったデュアリスと目が合った。

「ご安心下さい」

デュアリスはにこりと微笑む。

細身の体付きも伴ってか、犯人と格闘するイメージはない。

けれど、こうも容易く捕らえるなんて…。

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