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プリンス×プリンセス

第65章 キサンタンガムの裏側

「そもそも女手一つで子供を育てていたんだ。裕福とは言えなかっただろう」

だよな。

それに、フェールロコノから逃げ回っていたって事を思うと、まともな職につけていたかも分からない。

だから、ジュークにも身売りの打診が来ていたのか…。

「どの段階であいつの素性が知れたかは知らないが、臓器を売るよりフェールロコノへの手土産になると思ったのだろうな」

ディオは苦笑いを浮かべた後、あの男の考えそうな話だ、と皮肉を込めた声で呟いた。

「ジュークの母親は…その話に乗ったりはしなかったんだろ?」

「だろうな。金のためにジュークを手放すような事はなかった。だからその目的のために、邪魔な母親は殺された」

…そうなるよな。

予想していた展開だけど、実際ディオの口から聞くと、事の重みが違う。

そんな馬鹿な話はないだろう!?

頭を振り、ため息をついて…それでも言葉が出てこなくて…

「マトモじゃない」

絞り出すように呟くと、ディオも頷いた。

「同感だ」

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