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プリンス×プリンセス

第65章 キサンタンガムの裏側

母親の死をそんな扱いで葬られて、ジュークはどれほど憤ったんだろう。

だからこそこんなに…ある意味、執着とも言えるような資料を作って…

手の中の書類が、ずっしりと重みを増した気がする。

それは実際の重さじゃなくて、ジュークの想いなのかもしれない。

書類をディオに返し

「ジュークは…それを調べて何をするつもりだったんだろう?」

用意周到なあいつの事だ。

ただ書類としてまとめあげただけじゃない気がする。

するとディオは、俺を見てから書類に目線を落とすと、何かを思い出したように笑いを浮かべた。

「さあな。そんな事は分からん」

突き放したような言い方が腑に落ちなくて首を傾げると

「だが…俺はこの資料で、キサンタンガムに圧をかける」

そう言いながら、書類を机の引き出しに放り込んだ。

「圧?」

「これ以上奴が好き勝手出来ないようにな」

ニヤリと笑うディオを見ながら、俺は確信めいた思いを抱いていた。

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