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プリンス×プリンセス

第66章 湖畔の少年

凛とした表情。

銀縁眼鏡の奥の瞳は理知的で、冷たい人だと思われそうだけど、話すとそうでもなくて…

「彼女、ディオが憧れの人なんだってさ」

「ディオが…?」

「ディオみたいになりたいんだって。何か笑っちゃうな」

キサンタンガムで聞いた話を思い出して、つい笑みを浮かべると

「そう…」

姉上はそれを面白がるでもなく、ふう…とため息をついた。

「彼女はディオを理解できてるのね」

ぽつりとこぼれた声は、感情を感じさせない…抑揚のないもので…

「私は未だに理解できないわ」

姉上…?

「あの人が何を思ってるのか」

姉上はそう言って目を伏せた。

そんな姿を見て、俺は茫然としてしまう。

姉上とディオはうまくいってるんだと思ってた。

俺とディオが…その…ああなっちゃったとはいえ、子供も生まれたんだし…

少なくても仲違いをしてるとは思えなくて。

「何かあったのか…?」

「何もないわ。…ううん。何もないからよ」

姉上はうっすらと笑みを浮かべる。

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