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プリンス×プリンセス

第67章 懐かしき異郷

そんな声と共に、グレイスの後ろからベビーカーを押しながら少年が現れた。

見たところ、15、6才位だろうか?

薄茶色の髪の少年の顔に見覚えはないけど、ミルクティーのような髪の色がシエンタを思い起こさせた。

肌の色は小麦色というよりは黄色系で、そこは違うんだけど。

そういえば、シエンタの国と元々は一つだったんだよな。

シエンタのことは決着もついてるし、今さらどうだって事もない。

…はず、なんだけど。

思い出すと、胸の奥底がもやっとするのは…何なんだろうな。

首をかしげて、自分の気持ちを探っているうちに、少年はベビーカーを姉上の前に用意する。

「どうぞこちらへ」

「あ…ありがとう…?」

姉上は礼を言いながらも、見知らぬ少年の登場に迷いを見せた。

グレイスに目を向ければ、彼女はクスリと笑っていて…

「ユーノス。今呼ぼうと思っていたのよ?」

肩をすくめている姿は『困った人』と言っているようで。

この二人はどういう関係なんだ?

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