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プリンス×プリンセス

第67章 懐かしき異郷

グレイスと少年の様子に気を配っていると、少年は困ったように頭に手を置いた。

「どうぞご利用下さい。プリンスもお疲れのようですよ?」

小首を傾げて、姉上を窺うように見ている。

少年に、悪いことを考えてる様子は全くなかった。

「あ…そう、ね」

マックスを引き合いに出されて、姉上は不意を突かれたように瞬きを繰り返した後

「ありがとう。助かります」

そう少年に声をかけて、胸に抱いたマックスをベビーカーに乗せた。

周りの雰囲気や、初めて乗るベビーカーに違和感を感じたのか。

マックスが顔を歪めて…

ヤバイ!泣く!

姉上が咄嗟に手を伸ばした…その前に。

「こっちだよ。見て見て」

少年が、マックスの目の前で広げた。

その手をひらひらと揺らしながら、マックスの興味を惹く。

次第にマックスの目は少年を追っていった。

「うん。いい子だね。…あれ?これは何だろう?」

その場にいる者が少年の動向を追う。

何もない空間で、ひょいと何かを掴み取ったような動きをして…

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