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プリンス×プリンセス

第68章 それぞれの休暇

「何を見てるんだ?」

姉上が見ていた方向を覗いてみると…

そこには青々とした芝生と、その先には湖が広がっている。

湖のほとりに睡蓮が群生しているのが見えた。

ハートの形をした幾つもの葉の間から、白色や黄色の花弁を開かせた睡蓮の花がたくさん浮かんでいる。

「綺麗ね」

「そうだね」

だけど二階のテラスからでは湖までが遠い。

距離が近かったからだろうか?

最初の日に見たピンクの睡蓮の方が華やかな気がするんだけど…

姉上はテラスに手を掛けて、じっとその景色を眺めている。

「…そんなに気に入った?」

苦笑混じりに聞けば、姉上は弾かれたように俺を振り返った。

「え?」

「やけに熱心に見てるからさ」

すると真ん丸に見開かれた姉上の目が、力を和らげた。

困ったように首を斜めに傾げると

「睡蓮と蓮って似ているのね」

「ん?」

何で急に蓮の話になった?

どっかに蓮でも咲いてるのか?

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