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プリンス×プリンセス

第68章 それぞれの休暇

今までそんな素振りは見せたことがなかったし、話にも上ったことはなかった…と思うんだけど。

それとも、睡蓮が見事に綺麗に咲いているから、それで思い出したのか、誰かから聞いたのか…?

「姉上」

呼び掛ければ…

姉上は目を閉じ…そのまま口元に笑みを浮かべた。

「姉上?」

「そろそろ戻らないと」

目を開いてこちらを向いた姉上の顔は晴れやかで…

「マックスが起きるかもしれないわ」

さっきの暗さは何だったんだろう?

見間違えた?

そう思うほどに、姉上の態度はいつも通りだった。

テラスから戻ろうとする姉上に声を掛ける。

「睡蓮が気に入ったのなら、今日は湖のほとりまで行ってみようか?」

すると姉上は立ち止まり…

「そうね。それもいいかもしれないわね」

ゆっくりと振り返って、にっこりと笑った。



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