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プリンス×プリンセス

第10章 下準備

カムリから「届きました」と連絡が入り、俺は高揚した気分で庭に向かった。

「テリオス様、こちらです」

カムリの姿を確認して寄っていくと、その足元には幾つもの薔薇の苗が並べてあった。

「うん、いいね」

俺が頼んだのは大苗。

大苗っていうのは、新苗を春から秋まで育てた苗の事だ。

新苗に比べると、根が育っている分植え替えした土に根付きにくいけど、根付きさえすれば花が咲くのは早い。

早く咲かせてやりたいからこっちを選んだ。

俺の育てた薔薇を持ってこようかとも思ったけど、フェールロコノで育った苗の方が根付く気がして、カムリに頼んだんだ。

張りのある緑色の葉っぱを見て、たまらず笑みがこぼれた。

「よし、じゃあやるか」

「はい」

シャベルに足をかけて深い穴を掘っていく。

背中に重だるいような痛みが走るけど、全然気にならない。

カムリも見よう見まねで俺が指示を出した場所を掘っていった。

株の数だけ穴を掘ると、肥料を穴の中に撒いていく。

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