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プリンス×プリンセス

第71章 王女の悩み

それからまもなく。

再び目を開いた彼女は、いつもの聡明な表情をしていた。

「この国の歴史が浅いのはご存じですよね?」

「ええ」

「それ故に何としても王族の血筋を途絶えさせる訳にはいかない。ですので私が生まれた際に1人目の婚約者が選ばれました」

「生まれてすぐ…ですか」

「はい。王位は私が引き継ぎますが、婚姻相手にはそれなりの爵位が必要なので」

新しくて人口も少ない小さな国。

グレイス王女のお相手候補も、それほど前から抑えておかなくてはならなかった…のかしら?

「自国で相手を選んだ結果…彼は当時25歳だったそうです」

「それは…」

言いかけた言葉を、口を押さえて止める。

彼女の婚約者を侮蔑するともとられない言葉だったから。

でも、グレイス王女には分かってしまったみたい。

彼女はひとつ頷くと

「あまりの年の差に反対の声もありまして、今後彼にふさわしい相手が現れたら、私との婚約は解消するという条件つきのものになりました」

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