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プリンス×プリンセス

第10章 下準備

イヤミ王子が近づいてきたせいか、カムリが俺から距離を置いて頭を下げる。

こういう、いかにも『主従関係』みたいな態度、好きじゃないんだけどな…。

大きくため息をつくと

「下らないと思ってるんだろ?」

イヤミ王子に向けて言うと、片方の口角だけ上げて笑ってみせた。

「いいんだよ、それで」

別にアンタの為に作ってる訳じゃない。

アンタが俺をどう見下そうが、そんなものは関係ない話だ。

「お前の自己満足の為か?」

そういう風に見えるのか。

「それもあるかもな」

確かに。ある意味、自己満足で終わるかもしれないしな。

薄く笑いを浮かべると、まだ固い蕾を撫でる。

「いずれは姉上の憩いの場になってくれたらいいんだけどな」

願いを託すように薔薇を撫でていると、イヤミ王子が眉をひそめた。

「ティアナの?」

「そ。姉上が手入れとか出来るように、丈夫な品種を選んだし」

俺たちの国のローズガーデンだって、姉上も剪定とかしてたんだ。

だから、こっちでも簡単な手入れなら出来る筈だ。

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