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プリンス×プリンセス

第10章 下準備

すると、イヤミ王子はますます目を細くした。

「何故そんな事を考える?」

何故?

「俺はいずれいなくなるから」

薔薇から手を離し、立ち上がると

「俺だっていつまでもこの国にいられないだろ?俺の国での仕事もあるし」

同じ王子なんだから、アンタだって分かるだろ?

「目処はついているのか?」

「すぐにって訳じゃないけど…」

ふわりと風が吹いて、薔薇の苗木を揺らした。

風に揺れるそれらを見て、フッと笑みをこぼすと

「こいつが根付いて、そんなに手入れしなくても良くなる頃には姉上もここでの生活に慣れるだろうし」

姉上がここでの生活に慣れてくれれば、俺がついている必要もなくなる訳で。

「そうしたら…」

「分かった」

言いかけた所を強い口調で遮られた。

「は!?」

何だよ!!聞いてきたのはそっちだろ!?

不機嫌をあらわにすると

「早く風呂に行け」

イヤミ王子が眉を寄せて、嫌悪感たっぷりに呟いた。

「臭う」

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