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プリンス×プリンセス

第72章 聞いてない!

さっきまでのからかい気味の目の色は消え去っている。

むしろ、息を呑むほどに真剣な眼差しで…

「いいのかって…話せって言ってんだろ!?」

俺の手を掴む力が強くなった。

何なんだよ!?

この雰囲気だといい内容の話ではないのは予想できる。

だとしたら…何だ?

ディオの気持ちを探ろうと、その目をじっと見つめていると…

不意に、ディオが目を和らげた。

「ティアナと一緒にいるらしい」

「は?」

「グレイスだ」

「あ…さっきの電話か?」

「ああ。これから喫茶店に行くようだ」

「喫茶店?」

グレイス王女の雰囲気と、喫茶店というフレーズがそぐわなくて聞き返してしまう。

しかも…姉上と?

「どうしても連れていきたいのだと」

「へぇ…そんなに気に入った店なんだ」

「そうだな」

そう答えるディオの表情は、何だか曇っているように見えた。

「気に入らないのか?」

「そう見えるか?」

だから聞いてるんだろ!?

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