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プリンス×プリンセス

第73章 駆け引き

ティアナ様を見れば、私を見て1度頷いた。

「ありがとうございます」

ユーノスに代わってお礼の言葉を送っていると、当のユーノスは

「ありがとう。君、気が利くね」

あまりにも呑気な言葉に、従者の目が丸くなる。

……ああ、もう!

ユーノスには言葉の使い方から教えないといけないのかしら?

何の躊躇もなく髪を拭き始めたユーノスの姿に、自分の頭を抱えそうになるのを堪えた。

そして考えを巡らせる。

さっきのシミュレーションの様に。

「ユーノス!時間が…」

その呼び掛けに、ユーノスははっと息を飲んだ。

「あ!やべっ…」

手早く髪を拭い、タオルを従者に返そうとして躊躇する彼に、念押しをする。

「その格好では行かれないのではなくて?」

湖の水が澄んでいるのが幸いなだけで、頭から爪先まで水浸しなのには違いなくて。

「や、あっちで服貸してもらえば…」

それにしたって、これから仕事をする姿ではないのは自覚できたみたいね。

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