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プリンス×プリンセス

第74章 あなたは誰?

「それでは」

ユーノス様が僕達に軽く会釈するから、慌てて同じように返す。

すると

「あ!あの!」

僕の隣で、シルフィが声を上げた。

「お嬢様のお名前…お聞きしてもよろしいでしょうか?」

胸の前で両手を握り締めて…勇気を振り絞っているのがわかる。

相手は他国の姫の婚約者だ。

僕達のような従者が直接声をかけるのは、本来なら有り得ないんだろう。

シルフィにすれば、叱責覚悟の思いなのかもしれない。

だけど、ユーノス様はそこまで考えていないのか、あっさりと教えてくれた。

「ルーテシアちゃん、です」

「はーい」

ルーテシアちゃんは名前を呼ばれて、無邪気に右手を上げて笑う。

「素敵なお名前ですね」

「ですね」

ユーノス様もルーテシアちゃんに笑みを返すと、上げられた右手を取り、家に向かう。

「ばいばーい」

ルーテシアちゃんがぬいぐるみを振って挨拶する。

見れば、マキシミリオン様もたどたどしく手を振っていた。


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